在宅酸素療法(HomeOxygenTherapy HOT)について
我々は生きていくために呼吸をすることは不可欠です。息を吸うと肺から酸素を取り込み、二酸化酸素を吐き出します。空気中には約21%の酸素が含まれておりこれを呼吸で取り込むことによって健常人は生活ができます。
しかし、肺に病気(表)がある人は酸素を取り込む機能と二酸化炭素をはき出す機能が低下しているため、慢性的な低酸素状態が続くことにより全身に負担がかかってしまいます。その結果心不全や脳卒中などの合併症が生じ寿命が短くなってしまいます。
基本的な治療は元の病気の治療となりますが、慢性的な低酸素状態をきたす病気は改善が難しいものがほとんどで在宅酸素療法の適応となります。
在宅酸素療法は文字の通り病院外や在宅でも酸素治療を行うものであります。
在宅酸素療法を使用することによって
- 低酸素血症の改善
- 生存率の改善
- 運動耐容能の改善
- 入院回数の軽減(急性増悪の減少)
- QOLの改善
が望めます。
しかし注意点もあります。
この中で特に①が重要となります。酸素療法は酸素が多ければ良いものではなく、体に合わない酸素量は害になります。もし在宅酸素療法を使用していても息切れがあるような時は主治医へ連絡し酸素量の調整を行いましょう。
使用する機械として以下のものがあります。
1.酸素濃縮機
空気中の酸素を濃縮して酸素を流します。基本は据え置き型酸素濃縮機を自宅に設置し、在宅の際はそこから吸入することとなります。
ポータブル酸素濃縮機は酸素必要量が少量の場合に選択肢となります。酸素濃縮機自体を外出の際にも持ち歩く形になります。外部電源(車のシガーソケットやコンセント等)が取れるのであれば長時間外出も可能となります。
2.酸素ボンベ
据え置き型酸素濃縮機と組み合わせて使われます。外出の際に酸素ボンベと呼吸同調機を組み合わせて使われることが多いです。 ただし容量が決まっており、使用時間と残量に注意が必要です。
3.呼吸同調機
呼吸をする際息を吸う時のみに酸素を流すようにする機械です。これが使えると酸素ボンベの使用可能時間が伸びます。
4.その他
外出の際に使用する酸素ボンベやポータブル型濃縮機を運搬するもので、バックパックやカート等です。ADLを考慮して決めていきます。
当院における在宅酸素療法の管理について
・携帯型炭酸ガス分析装置(カプノアイ)
通常の呼吸を6回繰り返すだけで
計測が可能となります。
・携帯型血液ガス分析装置(慢性呼吸不全・在宅酸素療法への検査対応)
当院では、よりよい在宅在宅酸素管理のため
血液ガス分析装置を用い患者様のご自宅にて適宜
酸素の取り込み具合などを検査しております
具体的な運用方法といたしましては、
① 在宅酸素療法が導入開始される。
② 病院等より当院へご紹介。
③ ご自宅で訪問診療の開始。
④ 当院の医師による訪問診察。
⑤ 血液ガス検査をご自宅で実施。
⑥ その場で、酸素化のデータを確認。
⑦ その場で、酸素投与量の調整を行います。
⑧ CO2ナルコーシスの予防と酸素過剰投与のチェック。
*体調の変化があり、入院加療が必要と判断した場合、当院の血液ガスデータを大学病院、市中病院の先生方と共有させていただきより綿密に酸素投与量をコントロールさせていただきます*
病院の呼吸器内科医の先生方と
当院の呼吸器内科医の連携を行っております。
より安全で安心な在宅酸素療法を目指します。
現在、在宅酸素療法を行っている方で
①ご自宅から病院、クリニックへの外来通院が難しくなってきた。
②現在入院中で自宅退院をしたいのだが、在宅療養に不安がある。
のようなお悩みがありましたら、当院へご相談ください。
月1回からの訪問診療
武蔵野みどり診療所
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