我々考えるのがん緩和医療について
我々の考える緩和ケアとは、
・痛みやそのほかのつらい症状が和らぎ患者様が最後まで自分らしくご自宅で生活できること
であると考えます。そのために、在宅医と病院担当医、訪問看護師、ケアマネージャーなど多くの医療関係者との連携を行っております。
つらさへの対応について
がんによるつらさは、その患者様の病状、病期、治療方法などにより様々です。痛みや吐き気、不眠、便秘などその人にとってのつらさが、それぞれ異なってきます。ここで注意したことは、「つらさを我慢しない」ということです。つらさが強くなり生活に支障がでてしまうとご自宅での療養がむずかしくなってきます。是非そのつらさを医師、看護師へお話しいただければと考えます。
医療用麻薬を用いた鎮痛について
Q:がんによる痛みでの医療用麻薬の使用で依存や中毒がおこるか?
A:おこらないとされています。
医療用麻薬について依存、中毒があるないし最後の手段であるといった誤った認識になっている方もいらっしゃるかと思いますが、がんによる痛みについて医師から処方された医療用麻薬により依存、中毒は起きないとされております。副作用としては主に、嘔気、便秘、眠気などがありますが、これらの副作用について医師が投与量の調整や下剤の使用などにて調整し安全に使用できるように留意しております。
ご自宅でのお見取りについて
「ヒトの命には、いつか終わりがあるという事」皆わかってはいる事ですが、「自分自身の死と向き合うこと。」は、そうそうできることではない事だと思います。いざ病気になって自分の人生、生き方、死というものに直面する。その瞬間に我々が、そばにいさせて頂く事。その時の理想の医療とはなんなんでしょうか。
残念ながら医療は、万能ではありません。死を目の前にした患者さんのそばにいさせていただく事。死を前にしてその方の人生の振り返りを共にさせていただく事。そして寿命を全うするお手伝いをさせていただく事。自分自身の死を真っ直ぐに見つめる事。そこには理屈などではなく、ヒトとして人間としての道理があるのだと思います。誰でもその不安に押しつぶされそうになってしまうのが、正直なところだと思います。
ご自宅でのお看取りには、そのような不安がたくさんあると思います。その通りだと思います。もし不安が強ければ無理に自宅でお看取りをしなくてもいいとも考えます。病院にホスピス・緩和ケアなどの病棟もあります。ただもしよろしければ、その不安がどのような不安のか我々にもご相談していただけませんでしょうか。相談する事で少しでもご自宅でのお看取りの安心につながればと思います。せっかく自宅に帰ってこれたのに心配が絶えない。。癌の痛みが辛すぎて不安で眠れない。。。そんな時不安や心配な事は、みんなでよく話し、よく悩み、よく相談する事が大切だと考えます。そのための、在宅医療なのではないでしょうか。
たとえご本人が、病気にかかりお亡くなりになるとしても振り返ったら「あーいい人生だったな」と思えるそんな医療・サポートを心がけ日々診療を行っております。もちろんすべての患者さんが、そのように行かない事実もあります。綺麗事だと思われる方もいらっしゃると思いますが、
我々医療者の役割とは、患者さん自身が「 死と直面する 」その時に共に悩み、共に泣き、共に歩き、不安になるその心の支えになれる事だと信じております。最後の時間、家族とのその大切な時間を少しでも長くすごせる様に。また、患者さんの人生の最後の最後の場に立ち会い、しっかりとお支える事ができる様に、なお一層努力して参ります。
(このコラムでは、あえて「死」という言葉を使わせていただいております。その意図は、現代の医療の中でこの「死」という言葉を敬遠し「ヒトの命のおわり」にあまり向き合おうとしない姿勢が若干なりともあるためです。ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。)